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執筆者の写真茂木 敦史

こんな時どうする?緊急措置例

万が一、災害などを含めて事故に巻き込まれてしまったときや、周囲で事故が起こってしまったときなど、もしもの時の知識はプロのドライバーとして非常に重要なものです。

石油類や液化石油ガスなどの危険物輸送ならびにコンクリートミキサー車のように積荷によって重心が高くなる輸送を安全に行うために、その技能知識を取りまとめました。

内容は、危険物等の輸送事故事例・安全な取扱と運転・万一、交通事故が起きた場合の緊急措置、の3つを中心にしています。

今回はその中の一部を一緒に確認していきましょう。

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危険物の種類

輸送する貨物のうち、次にあげる危険物の場合、一般貨物とは違った慎重な取扱と運転が必要です。

危険物

(消防法による第1類から第6類の順に、可燃性固体、自然発火性物質及び禁水性物質、引火性液体、自己反応性物質、酸化性物質)

高圧ガス

(高圧ガス保安法による液化石油ガス、可燃性ガス、酸素、毒性ガスなどの高圧ガス)

火薬

(火薬類取締法による火薬、爆薬、火工品)

毒物・劇物

(毒物及び劇物取締法による毒物、劇物)

その他

(放射性物質など)

危険物を安全に輸送するプロドライバーの技能知識

事故事例の知識

危険物輸送の事故は、ドライバーは勿論、歩行者、他の車両、周辺地域に重大な損害を与えます。

事故事例は他山の石として貴重な教訓となるのです。

正しい危険物取扱と安全運転についての知識

危険物・高圧ガスの個々の名称や性質、取扱など分かりにくいことが多いです。

このため、イエローカードをもらい、その特性を知ることが大切です。

車両構造や積荷から生じる運転特性の知識

タンクローリーの横転、トレーラのジャックナイフ現象、実車走行時に重心が高くなる特装車の横転など車両構造や積荷から生じる運転特性を知っておきましょう。

万一事故が起きたとき、やらなければならないことの知識

特に危険物や高圧ガス輸送のとき、万一事故が起きたたら、どのように緊急措置や連絡をしなければならないかという知識と心構えをもつようにしましょう。

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事故例と教訓

石油タンクローリーの横転・爆発事故事例

【事故の概要】

石油タンク・セミトレーラが山間の下り坂左急カーブを回ったとき、セミトレーラが右に傾いて左側車輪が浮き上がり、対向車線にはみ出し横転し、右側のガードレールに激突しました。

激突によりタンク右側前部が損傷し、ガソリンがその亀裂から流出して、着火、2回爆発して車両全体が炎上。

運転者は爆発・炎上の犠牲となり、また、破損した後方のタンクからガソリンが道路外斜面に流出して、危険な状態となりました。

【事故を起こした車両】

後輪一軸の20㎘積みアルミ製タンク・セミトレーラ、ABS装備車両

【この事故を教訓とした注意点】

  1. 下り坂左急カーブを速いスピードで旋回すると横転の危険があります。

  2. セミトレーラが傾き、片側の車輪が浮き上がるとABSの効果は低下し、操縦不能となります。

  3. カーブ時においては、セミトレーラの動向を認識して運行します。

ボンベ輸送の横転・爆発事故事例

【事故の概要】

LPガスボンベ(50㎏入り25本、20㎏入り9本)を積載した2tトラックが信号のある交差点を右折しようとしたとき、対向左折車に接触しそうになったため、右に急ハンドルをきり、左に横転ました。

横転により燃料タンクから軽油が流出し、引火して炎上し始めました。

また、車両の横転により投げ出されたボンベの一部の口金がそのショックで緩み、噴出したガスに引火して、ボンベ15本が爆発、炎上しました。

【事故を起こした車両】

2t積平ボデイトラック。

ボンベを立て積みにして、ロープで固縛していました。

【この事故を教訓とした注意点】

  1. 危険物を積んだら、特に交差点では、危険予知を十分に行い”だろう運転”は禁物です。

  2. 出発前には、ボンベの口金の点検、固縛状態の点検を行いましょう。

ドライバー全員が丁寧かつ安全に運転できれば、さまざまな事故を未然に防ぐことができます。

もちろん自然災害などの不測の事態は難しいかもしれませんが、あらかじめ対応できる知識があれば迅速に行動できますよね。

プロのトラックドライバーとして、安全運転を心がけましょう。

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